Xankリザーブ解説:自律型資金調達による価格安定化メカニズム

来、何かしらの資産にペグされている通貨の価値を決定する際には、その原資産を準備金として用意する必要がありました。準備金の量を一定量に保つのはペグされている資産にとって課題の一つであり、主権国家が長期的な不景気に突入すると、その仕組み自体が瓦解しがちでした。

国が発行する資産にペグ(State-backed pegs)している通貨は、納税者により支えられている借入メカニズムを利用して債券を発行し、より大きな赤字を計上することで、仕組みが崩壊しないように生き残り戦略をとることがあります。ステーブルコインにおける初期の試みは、私募資金を使ってペグを維持しようとしました。公開市場で調達されたこれらの大規模の資産による準備金は、これらの独自通貨ペグを試用しています。

自律的資金調達ネットワークというコンセプトに基づくと、Xankリザーブは設定した条件で担保要件を満たすことができ、原資産に基づく準備金を保有していません。これは、必要な安定性を提供するために、「バッキング(裏付け)」から「トラッキング(追跡)」に焦点を移したといえます。

 

 
自国資産ペグと私募資産ペグ

歴史的に、国家が発行する通貨は、金や銀を含む貴金属の埋蔵量にペグされていました。米ドルの価値でさえも、一時的にではありますが、銀ドル(Silver Dollar)として知られている鋳造貨幣に基づいた銀の価値にペグされていた歴史があります。銀の準備金は市場の要請に応えられるよう、常に引き出すことができたため、価値安定化メカニズムとして機能していました。最近では、多くの国が自国通貨の価値を他の通貨へペグするようになっています。最も有名なのは、アルゼンチンペソでしょう。ペソは他のラテンアメリカ諸国と同様、米ドルに対してさまざまなペグを試したました。これらの国々は、ペグを維持し自国通貨の価値を安定させるため、米ドルの準備金を保有していました。

初期のステーブルコインが採択したメカニズムは、これと同じメカニズムでした。こうした仕組みは、企業や個人によって支えられています。つまり、国家レベルに満たないレベルの経済圏であるため、私募資産保型ペグ(private-backed pegs)として分類されます。たとえば、例えば、Tetherに一定の価値を付与するためには、流通しているTetherと同量の米ドルを用意する必要があります。この米ドルの準備金は、与信への懸念を排除するため、監査を受けられる口座に保持する必要があります。透明性に欠けているこのプロセスにおいて、スキーム全体をまとめるメカニズムへの信頼をユーザーはいつでも失う可能性があります。さらに、ペグを維持するということは、通貨の需要をリアルタイムでトラッキングし、暗号通貨の供給をリアルタイムで変化させる必要があることを意味します。

納税者によって支えられている自国通貨へのペグとは異なり、私募資産ペグは単一の企業、パートナーシップを組んでいる投資家、さらには個人の誠意と前向きなやりとりに依存しています。こうした通貨は、単一障害点を抱えています。ペグするメカニズムのうち、いずれかの部分が機能しない場合、メカニズム全体が壊滅的なダメージを受けるリスクを持っています。

歴史的に見れば、自国通貨ペグの大半は、経済状況の変化に応じた外貨準備を常に迫られているいるため、崩壊を免れません。必要な量の外貨を用意するための資金を納税者がまかなえないにも関わらず、私募資金による準備金を無制限に維持することなどできるのでしょうか。少なくとも、自国通貨ペグでは、国の経済状況が健全かどうかを慎重に精査し、通貨ペグが不安定になるなど、否定的な将来予測がつきものです。しかし、これが私募資産ペグであればどうか、皆さんはすぐにおわかりでしょう。

 

 
バッキングを代替する自律的トラッキング

短期間であれば、原資産を保有する手法はうまくいくかもしれません。しかしが、未来が現在と非常によく似ているという前提で進めるには、非常に費用のかかる長期的事業です。変化する市況を考慮に入れると、価格を自律的にトラッキングし、原資産とは無関係に運営できるメカニズムが必要です。原資産の保有を維持することに依存するメカニズムは、持続可能ではありません。

トラッキング要件は、裏付け要件よりもずっと簡単です。簡単に言えば:

バッキングでは、一定量の原資産を保持・維持します。これにより、価値の基準となっている原資産の比率を一定に保ちます。原資産に影響を与えうる市場の動きによっては、利用者はそのあおりをまともに食らってしまいます。

トラッキングでは、その仕組み独自の資産を原資産とし、その量を一定量保持・維持します。これにより、トラッキング対象となる資産をとりまく市況の影響を、ネットワーク利用者が被らずにすみます。

 (ネットワークにおいて流通する通貨が設定されている)ネイティブリザーブの量は、ペグを維持するために必要とされる準備金の量と同量になります。たとえば、米ドルをトラッキングするのであれば、米ドルの準備金を保持する代わりに、米ドル相当のXankコインを保持することになります。

この実現には、Xankの市場価格とステーブルペイ取引の需要に応じて、Xankリザーブの「必要量」を変動させる必要があります。Xankのステーブルコイン機能は取引を行う際にオンデマンドで提供されますが、それ以外の局面では、市場価格でやりとりされます。

要約すると、価格トラッキング機能を実現するには、需要と供給のバランスに常時対応し、ネットワークの要件に応じて準備金の供給を調整できることが求められます。

このように、Xankリザーブは、Xank独自通貨により資金がアルゴリズムに基づいて自律的に補充されるXankの独自の準備金を使用して通貨を設定およびトラッキングするように設計されています。ブロック報酬の一部が、つまりXankコインの一部が準備金のために留保されます。ネットワークが一度に1ブロックずつ、制限なく成長するプロセスを重ねるほど、Xankリザーブの資金プールは充実していきます。ネットワークがより広範な経済圏において、より多く利用されるにつれて、Xankコインの価格は価値が上がるように設定されています。つまり、Xankコインの価格があがるほど、資金プール自体の価値も高まる、ということです。

基本的な考え方は、資金プールがネットワークを下支えする基盤として機能する、ということです。Xankリザーブはステーブルペイ取引を調整できるだけでなく、急遽発生したネットワーク上の需要に応じ、超過した資金を割り当てて運用するXank基金との間で共存関係にあります。

ネイティブリザーブを使用すると、ネットワークは必要な場合にのみ外部資産をトラッキングできます。追加機能として、*規模の大小を問わず、これによってネットワークを最大限の可能性、つまり他の資産の価格に見合った予備のデジタル暗号通貨に拡大することもできます。

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Creator & Chief Scientist @XankMoney. Founder @Hycom & @Hycare. Entrepreneur. Developer. Designer. Writer. Blockchainist. Kosdaq IPO. https://ryuhyun.kim/

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