これまで投稿で私たちはXankの実力主義ガバナンスについてお伝えしました。それを通じ、自発的参加に基づく分散型ネットワークを構築する際には、どのような同意が必要かについても述べてきました。別の記事ではネットワークの自律資金調達型基金についてもお伝えしました。ネットワークが成長するにつれて、ネットワークの運用、開発、セキュリティ、および保守のニーズをカバーするのに必要量以上の資金を抱える可能性があります。その超過資金は、どのように使われるのでしょうか?誰が、どのような割合で力を有し、決定を下すのでしょうか?この記事では、ネットワークを成長させるために参加する多種多様な人々を、Xank憲章がどのように動機づけるのかを検証してみたいと思います。
十分に機能している家族や社会の場合と同様に、いったん基本的なニーズが満たされると、余分な資金を使って人々のウェルビーイングを改善し、家族や社会のさらなる繁栄に備えることができます。自発的な参加に基づく分散型ネットワークにも同じ原則が適用できます。Xankは分散型ネットワークであるため、ネットワークが決定するという仕組みこそが。このネットワークでは適切な仕組みです。しかし、ここで疑問がでてきます。ほとんどの人に利益をもたらして最大の影響を与えることと、ネットワークを分散的に保つこととを両立するような形で決定を下すには、どうしたらいいのか、という疑問です。これは重要な検討事項です。もしもこれを誤解したままだと、あなたが得られるはずの利益もまた単一的なものに限られてしまう可能性があります。
たとえば、欲望にかられた人だけが集まっているモノカルチャー(訳注:単一文化、多様性がない人の集まり)を想像してください。もしも欲張りな人々だけに向けて、ネットワーク参加を奨励するとしたら、きっとそのネットワークは、欲張りなモノカルチャーになる可能性が非常に高いと考えられます。これは西側自由主義の民主主義にも似ています。このモノカルチャーは、大規模な成長を達成するのに優れていますが、通常、富と権力を少ない範囲に集中させると同時に、ほとんどのネットワークを切り離して無力にするという方法で実現します。これは、自発的なネットワークでは機能しません。ネットワークの合意を得るためには、一部の人の意見だけでは不十分だからです。さらに、モノカルチャーは単一障害点になりがちであり、一部の原則やイデオロギーにのみ話題が偏るほど、限界に達したり課題に直面したりした際には崩壊する可能性が高くなります。
このような事態を防ぐには、ネットワークの力をネットワークの端々にまで分散させるために、多様な参加者を奨励するインセンティブの組み合わせを促進する必要があります。こうした試作の結果、ネットワーク上の文化は多様になり、ネットワークは様々な側面を持ち合わせ、変化し、そして分散化するでしょう。そのようなネットワークは、単一のアイデアやイデオロギーによって支配されたり、圧倒されたりすることはほとんどありません。むしろ、実力主義的なバランスを実現するために、競合するさまざまなアイデアやイデオロギーが自然と生まれてきます。これこそが、世界規模で機能するネットワークとしてスケールしていきたい、との思いで開発を進めているXankの願いです。ネットワークを有用なものとして維持・運営するために、さまざまなプロジェクトに資金を供給する必要があります。そのようなプロジェクトの多くは、経済的な観点からは容易にその意義を測定できないものも含まれますが、それでも私たちのウェルビーイングにとって重要です。だからこそ、政府からは資金提供されていない実状があるのです。
Xankのような人の力を活用するネットワークは、政府が衰退し、もはや市民に対する義務を果たせなくなるにつれ、その必要性が明らかになるでしょう。国家は汚職に悩まされており、その財源が縮小するにつれてますます専制的になり、国民を監視・規制する方向に進んでいきます。国民に奉仕するのではなく、資源を確保し権力を維持するために、軍事的手段に目を向けています。
これが私たちが憲法を必要とする理由です!
分散型ネットワークには、ネットワークが検討に値すると判断する資金調達提案の範囲を設定する文書が必要です。その文書で規定されている原則に反する提案を、ネットワークが検討する必要はまったくありません – これらの原則はネットワークによって合意されているものです。
Xank憲章の前文はホワイトペーパーに記載されています。この前文は、ネットワークが存在する根本的意義を再確認するために存在しています。この前文で明らかにされていることは、社会に最大の利益をもたらすことを動機づけ、促し、ネットワークへの参加者を最大にする原則の主要な組み合わせです。しかし、それで留まるわけではありません。憲章はよりダイナミックで、発展する文書へと成長します。なぜなら、ネットワークとより広い社会の必要性に順応していくからです。
Xankホワイトペーパーで、憲章の前文についてさらに学ぶことができます。
基本条項
Xank憲章に沿っている組織、企業、そして個人であれば、資金調達の提案をネットワークに向けて提出できます。ネットワークの原則と最も一致している提案は、より多くの検討と最高の承認を得られることでしょう。憲章に含まれる原則を、概要とともに紹介いたします。
抑制撤廃条項
この条項は、抑圧にさまざまな形で対抗することを目的とする、すべての取り組みとプロジェクトを網羅します。これには、破壊的な戦争や軍事力増強に対抗するすべての平和的努力が含まれます。この条項は紛争を平和的に解決することを促進し、異なる人々との協力を促すことを目指しています。直接的な軍事的および強制的な抑圧のみならず、経済状況によっても抑圧される可能性があり、多くの場合、人々のネットワークを介して権力を行使する中央集権的機関によって悪化しています。経済的抑圧はしばしば目にするものであり、体系的なインフレと量的緩和の形で表れます。損失を広める一方、権力基盤を損なわないようにします。制度の腐敗は、社会全体を圧迫します。腐敗した者が影響力を持つようになるほど、共同体が重ねた努力の恩恵を彼らだけが享受し、そのせいで、社会が資源配分の領域で成し遂げた進歩を台無しにしてしまう可能性があります。
抑圧条項はまた、健康全般における資金不足に取り組むことを目的としています。医療サービスを受けたり、医薬品を利用するためのコストが増加しているため、十分な医療を受けない人々にとって、資金不足は大きな課題です。自然療法や代替療法の分野でも同様に、資金不足が課題になっています。なぜなら、特許を取得できなければ、画期的な解決策であっても誰からも見つけてもらえないからです。病院は、よく見受けられる症状に対し、健全な身体および食事上のアドバイスで患者を治療することを望まなくなりつつあります。なぜなら、標準化された手順であればあるほど、より多くの保険資金を得られるからです。
汚染条項
社会が近代化し工業生産高を増加させるにつれ、汚染がその副産物として登場します。汚染は、産業が盛んな地域だけでなく、その周囲、さらには世界規模で生活の質に影響を与えます。リサイクルとより良いエネルギー利用を促進するための労力は、社会を教育することに注がれます。しかし、産業用リサイクルプラントなどの取り組みには多額の設備投資が必要であり、社会インフラニーズの優先順位のリストに載っていません。汚染条項は、よりきれいな空気、水、および土壌に向けたすべてのプロジェクトと取り組みを応援するために用意されています。これには、大規模プロジェクトへの資金提供、高度な技術的解決策の適用、必要に応じた教育的取り組みが含まれます。
世界の汚染と廃棄物の多くは、シンプルな解決策をすでに持っています。例えば、現代のトイレは水を洗うために最大10リットルの水を使います。完全に清潔な飲料水の代わりに、配管方法を工夫して、トイレ用にシャワーや流水をリサイクルすることもできます。コンポストトイレは、水洗式トイレに代わるものとして設置することもできます。この副産物は、有機農園の肥料として使用できます。
このようなシンプルな手法はすでに成功を収めており、資金が増えることで、これらの取り組みは飛躍的に大きな展開を達成し、環境に良い影響を与える可能性があります。
差別反対条項
上述したように、また自然界で広く認識されているように、多様な文化は変化に対してより適応性があり、逆境に対して単一文化よりも強い回復力をもちます。ネットワークがより堅牢性を発揮するためには、多様性が社会的財産として受け入れられるだけでなく、奨励される必要があります。差別反対条項は、人々の間に存在する違いを理由にした差別を排除するために、平和的な手段を見つけることを目標として活動している、すべてのプロジェクトと努力を網羅しています。これらの努力の大部分は本質的に教育的なものになるでしょうが、その努力の末に達成されるであろう技術の進歩は、人々をより近づけ、協調しあう社会に住めることへの感謝の気持ちを、より強めることに寄与するでしょう。
反差別の精神のもとで活動している小規模な取り組みは、すでに数千もあります。世界中のさまざまな場所で開催される毎年恒例のKCONミュージックフェスティバルのようなプロジェクトは、人種差別や固定観念を打破し、さまざまな背景や多様な趣味の人々を結びつけます。このような先進的取り組みは人種差別と闘い、人々の間にある違いが問題にならない世界をつくることに貢献します。人々がより調和し、シナジーを生み出せるような取り組みは、世界における不必要な対立と苦しみを減らすために奨励されるべきです。これらの取り組みは、資金提供の仕組みが改善されることで、社会に対してより大きなインパクトをもたらす可能性が高まります。
進化し続ける文書
Xank憲章の設計は、あえて流動的な文書になるようになっています。なぜなら、静的な文書がネットワークに提供されると、その内容がネットワークの必要性に集中しがちだからです。憲法とは、構成部分をリスト化した、いわば食事のレシピのようなものです。しかし、このレシピに記載されている内容はほんの一例にすぎず、材料の比率は変更することができ、材料自体でさえ変更または代用することができ、途中で変更することもできます。レシピは時間をかけて調整することができ、やがてより洗練されたものになります。政府がさらに詐欺的になり、通貨がさらに膨れ上がり、人的ネットワークへの価値移転が進むと、ネットワークの資金をどこで使うかを決定するメカニズムが必要になります。ネットワークが多様になればなるほど、それが満たすことができるニーズの範囲も多様になります。Xankは、現在および将来の社会的ニーズを満たすように進化、および拡張できる動的ネットワークとして設計されています。動的で、適応的で、それゆえに分散型の憲法は、Xankネットワークが有用な規模で社会に必要とされるメリット主義をもたらすためのメカニズムを下支えするためにあるのです。