Crypto Diaries:ステーブルコイン戦争が始まった

Facebook、中国中央銀行(PBoC)およびBinanceは、ステーブルコインの領域で優劣を競っています。

年初から暗号通貨の値動きが上向きなものもあったことから、価格低下に陥る可能性は減りました。しかしながら、デジタルコインの王であるビットコインの価値は下留まりし、11,000ドルの抵抗ラインを維持できませんでした。

CNBCと対話したアメリカSECのジェイ・クレイトン委員長は、ビットコインETFの承認に関する規制に伴う懸念への対処に進展が見られたものの、まだ多くの作業が残っていると繰り返し述べました。すでに何度も遅延が発生していることを市場は把握していることもあり、彼の声明により市場はあまり動きませんでした。

ソーシャルメディア大手のFacebookは今年の夏、ステーブルコインLibraのローンチを発表して、物事を醸しだしました。これは、同様のプロジェクトを発表した、他の多くの大手企業にも波及しました。注目すべき出来事のトピックは、中国人民銀行(PBoC)、既存のステーブルコイン、最大の暗号通貨取引所です。

FacebookのLibra

レガシーテクノロジーの巨人が参入したことで、暗号通貨業界が揺れました。ネイティブのデジタルトークンを導入するFacebookの計画は、暗号通貨の楽観主義者にとって嬉しい驚きでした。Libraコインは、主に法定通貨バスケットにペグされる、ある意味で中央集権型のステーブルコインであるにもかかわらず、分散型デジタル通貨が広く普及し、国境を越えた各種の支払いに使われる兆候として受け入れられたからです。

Libraは、米国および世界中で厳しい規制のハードルに直面しています。規制当局は2つ懸念を持っています。1つは、25億人ものユーザーを抱えるプラットフォームが、どんな形であれデジタル支払いを採用・導入した場合、現在の金融システムを大きく混乱させる可能性があることです。もうひとつは、個人情報の保護の観点です。Facebookはこれまでに、ユーザーの個人情報の扱いについて不信を買ってきました。

Libraが米国議会で規制当局の精査と向き合っている時、ブルームバーグが伝えたところによると、Facebookは上院議員に対し、Libraは法定通貨のバスケット(米ドル、ユーロ、円、英国ポンド、シンガポールドル)に最初のうちは支えられることになる、と伝えたそうです。中国人民元の除外は、中国が法定通貨を操作したことを非難した議員の懸念に対処する重要な動きです。貿易摩擦も同様に、この決定に影響を与えたかもしれません。

Libra Association(プロジェクトを統括するコンソーシアム)がどの法定通貨を追加するのか最終的に決定する一方で、Libraチームは米国の規制を順守し、正式に承認を得ることを決意しています。

PBoCのCBDC

中国中央銀行(PBoC)は、独自のデジタル通貨開発へ精力的に取り組んできました。このプロセスは、Libraのおかげで推進力を得ました。なぜなら、FacebookのLibraが準備通貨にペグされることで、デジタル世界で米ドルが優位に立つことへの不安が高まったためです。

PBoC副ディレクターMu Changchunが発表したのは、ブロックチェーンアーキテクチャを採用したプロトタイプを開発することでした。新しい通貨は、主流の暗号通貨に挑戦者として挑むよりも、デジタル化と制御に向けた試みに主眼を置いています。これまでに明らかになってきた、しかしながらあいまいな情報を組み合わせると、中央集権型のデジタルコインが開発されているのではないかと、推測されます。

今後開発が進むデジタル通貨はLibraのような同様のネットワーク設計を持つことを、中央銀行は認めています。しかし、国家元首が力を持つ中央機関によるデジタル通貨の流通への関与は、Tencent、Alipay、WeChatのような支払いサービスを介して広く普及する場面において信頼にまつわる要因が存在すると言えるでしょう。

関連ニュースとしては、最大のステーブルコインであるテザーが発表したオフショア中国人民元(CNH)の追加と、ERC-20トークンとしてEthereumブロックチェーン上で実行される新しいCNH₮ステーブルコインのローンチです。管理されている国内人民元(CNY)とは異なり、オフショア人民元は自由に取引されます。

BinanceのVenus

世界最大の暗号通貨取引所Binanceが発表したオープンブロックチェーンプロジェクトは、世界中の様々な法定通貨にペグされた、ローカライズされたステーブルコインやその他のデジタル資産を開発する先駆的取組です。Binanceは、政府、企業、テクノロジー企業、ブロックチェーンエコシステムに関与する他のプレーヤーとのパートナーシップを促進することで、これを達成したいと考えているようです。

FacebookのLibraに代わる、中国における地域的な代替手段としてVenusと呼ばれるプロジェクトの発表もまた、議論を呼びました。PBoCとBinanceのアイデアのもとはLibraかもしれませんが、競合他社を構築する動きには複数の目論見があるのかもしれません。

Binanceは、PBoCとは異なり、Libraがペグされている米ドルの優位性にはあまり関心がありません。それよりも、ブロックチェーンエコシステムにおける分散型の環境が侵害していること、中央集権的な既存テック大企業の存在への懸念が大きいようです。もちろん、ドルにペグされているLibraは、法定準備通貨の重要性を活用することでしょう。

PaxonのPAXゴールド

取引量と時価総額(上記の図)による最大のステーブルコインの1つは、ゴールドに裏付けられたイーサリアム(ETH)トークンであるPAX Gold(PAXG)のローンチを発表しました。すでに述べたステーブルコインの直接的なライバルではありませんが、強力なサポートを受け、かつニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)によって承認されていることを考えると、大きな動きであることは事実です。

PAXGは、現物資産の金と引き換え可能です。これは、暗号資産で初めての特徴です。現物資産に裏打ちされたそれぞれのステーブルコインは、ロンドンにある専門の施設に保管されているLondon Good Delivery goldの1トロイオンスに換算されます。顧客は、デジタル資産の機動性を保ちながら、その価値の基盤である貴金属を所有することもできます。

ERC-20プロトコルを採用しているため、デジタル資産を取引所、ウォレット、レンディングプラットフォーム、その他の暗号資産と容易に統合することができます。また、Paxosがオンチェーントランザクションに対して請求する手数料が非常に少ないため、物理的な金を保管する際に発生する高額な手数料を回避できます。

暗号通貨業界の革新は、技術そのものを前進させ続けています。この記事で紹介したプロジェクトや、Xankのこれからが楽しみです。Xankは独創的なステーブルコインプロジェクトであり、分散性、代替可能性、および受動的所得を同時に獲得する機会を提供します。



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