ソーシャルメディアの巨人によって提案された暗号通貨は、著名な初期サポーターからの指示を失いつつあります。
今年の6月にFacebookが提案した暗号通貨は、その発表以降、注目を集め続けています。この提案は、多くの人に疑念を抱かせました。なぜなら、24億人以上の利用者がいる、世界最大のソーシャルメディアプラットフォームが出した提案だったからです。
分散型暗号通貨プロジェクト達は、非常に中央集権化された企業体が(本来は自由であるはずの)Defi空間に土足で踏み込むのと同じである、と批判しました。Facebookには独占的な傾向があることから、規制当局は、現在の「試行および検証済み」の金融システムに混乱が生じる可能性があることを強く懸念していました。
規制上の懸念
規制当局は、とりわけセキュリティの問題、特にソーシャルメディアの巨人が露呈した不十分なプライバシー対策に対し、非常に批判的でした。Facebookは、Libraコインのローンチに関する強い懸念を和らげようと、規制当局からの承認を得られない場合には、暗号通貨をローンチしない、と述べました。
Facebookにとって残念なことは、欧州の規制当局が非常に厳しいスタンスをとったため、Libraへの批判は高まり続けたことです。そのスタンスとは、例えばヨーロッパで稼働させる場合にはLibraをブロックするという手段も辞さない、という姿勢です。これだけではありません。G7が発行した最近の報告によると、このような暗号通貨には9つの大きなリスクがあり、規制当局が承認を出すまでにそれらは適切に処理される必要がある、と記載されています。
有力なメンバーの脱退
しかし、最大の壁はまだ立ちはだかっていませんでした。プロジェクトの運営評議会であるLibra協会には、当初28人のメンバーがいましたが、これらの規制対処を巡る闘いが続くであろう事を理由に、特に有力なメンバー6社が初めての”死傷者”として脱退してしまいました。 数週間前に脱退をしたPayPalに続き、Mastercard、Visa、eBay、決済会社Stripe、およびMercado Pagoも相次いで脱退しました。規制当局からの強い反対が、これら6社が脱退した主な理由でした。
プライベートブロックチェーンネットワークでLibraを実行する責任を負い、最終的に100人のメンバーに拡大することを目標としていた同協会は現在、メンバー数を22に縮小しています。事業者の参加条件として1,000万ドルの投資があることを考えれば、6000万ドルは大手企業が抜けていくのはそれほど大きな問題ではないように思われるかもしれません。ただしい、これらの事業社の脱退は、他の事業者もLibraへの不安を理由に協会を去る流れを助長する可能性があります。
オープンLibra
Libraが稼働しないまま終わる可能性は非常に高いです。しかし、デジタル決済分野で活動している他の類似プロジェクトに弾みをつけたことは確実です。ブロックチェーンインフラストラクチャのスタートアップWirelineの共同設立者は、OpenLibraを発表しました。これは、ファイナンシャルインクルージョン、オープンガバナンス、および経済的分権化に重点を置いて、Libraの強みを強化することを目的としたブロックチェーンテクノロジープラットフォームです。
パーミッションレスフォークをLibraに対して提案したの開発者は、MoveMintと呼ばれる最初のバージョンをリリースしました。Tendermintブロックチェーンソフトウェア上で稼働します。GitHubにて、この詳細を見ることができます。
Libraで「先物予測」
Libraが実際に使われるかどうかが実際に目に見える形になるまで待てない人のために、暗号通貨デリバティブ取引所CoinFlexは、2020年にLibraがローンチされるかどうか、というテーマでは初の予測先物取引コントラクトを立ち上げています。イニシャル・フューチャー・オファリング (IFO:Initial Futures Offering) のコンセプトに基づいているこの先物は、10月24日に提供開始となり、初期価格は$0.30になるそうです。この価格には、Libraが2020年12月までにローンチされる確率である30%が反映されています。
Libraが上記の時までにローンチされる場合、Facebookは規制当局の極端な懐疑論に対処する必要があるだけでなく、パートナーとして協会に参加している事業者を、なし崩しにならないよう説得する必要があります。しかし、その前に、すでに広まってしまった悪印象を払拭する必要があります。今のところ、Libraプロジェクトは下り坂をどんどん滑り落ちていっているように見えます。
オリジナル版はMediumでご確認いただけます。
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